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三島由紀夫 2022.10.08

死生観 その1

42歳くらいの三島さんが大学生と公開討論をした時の様子を、私は以前ユーチューブで見たことがあります。その記憶を辿って、今日は話したいと思います。ある学生が、三島さんに対してある質問を投げかけます。その内容とは、「三島さんは、理想の死というものを、積極的に探求しておられるが、今日まで生きているということは、結局のところ、死ぬのが怖いんじゃないですか?」というものでした。そこで三島さんの回答は「20代の頃は、自分は戦争で死ぬもんだと思っていたが結局死ななかった、そして30代になって、今度は太宰治のように心中しようと考えたが、一緒に死んでくれる女性がいなかった、そして40代になって、自分の理想的な死は西郷隆盛なんだけど、彼は49歳で死んでるから、自分にも後数年の猶予が、まだ残っていると」という内容で進み、軽いユーモアを交えながら、その場の空気は和らいでいきます。しかし、ここで例えられた三つの死の意味合いは、全く別物です。しかしながら、ただ老いて、よぼよぼになりながら、布団の中で死んでゆく死は、自分には絶対有り得ないと豪語していた、三島さんらしい表現でもあります。三島さんは、結局その2、3年後に実行に移されますが、私は、ただの平和な日常の中で、安らかな死だけを望んでいる平凡な人間です。つづく

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