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三島由紀夫 2023.05.17

太陽と鉄 その1(意識)

私は子供の頃から、三島由紀夫に非常に影響を受けていました。当然それは積極的というより、圧倒的な受け身によるものです。その影響のほとんどが、割腹自殺事件の光景であり、小学生の頃だったと思うのですが、その事件の特集を初めてTVで知ったときの、彼の誇らしげな姿が今も脳裏に焼き付いています。私は、文学作品に全く興味がない人間であり、あの難し気な文体を理解できないので、仮面の告白を辛うじて読んだくらいで、それ以外の作品を、読んだことがありません。しかしながら、あの事件での彼の姿に自分を投影することで、彼の内面を勝手に暴いていくうちに、あの事件が、とんでもない芸術作品であることに気づきます。しかし自己投影だけで理解するには限界があるので、彼の作品の行間を理解する努力をしようと思います。要するに、三島由紀夫の書物を選んで読みます。第一弾は「太陽と鉄」です。まだ手元に本が届いていませんので、ネット上にある一文を引用してみます。『意識は一見受身のように思われ、行動する肉体こそ「果敢」の本質のように見えるのだが、肉体的勇気のドラマにおいては、この役割は実は逆になる。肉体は自己防衛の機能へひたすら退行し、明晰な意識のみが、肉体を飛び翔たせる自己放棄の決断を司る。』難しいですね、三島さんの二元論的思考に固執した、らしい文体に思います。しかし彼の文体は、彼の行動力(肉体)と一体なので、その原理に時代がようやく、追いついて来たところのようです。

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