思うこと 2023.01.19
今回、吉田類がぶらっと立ち寄ったのは、小径が続いて路地裏深くに立っている居酒屋「兼美」(かねよし)です。ここは、ふぐ料理がメインですが定食も充実しており、料理人の大将の本格的な和食を、手ごろな価格でいただけるという穴場スポットのようです。穏やかな表情の大将ですが、実は神社奉納で行われる「庖刀式」を執り仕切る庖刀師という厳しい一面も持っておられます。その神も宿った大将の包丁捌きから、繰り出す和の心に、類のハートは釘付けです。大将の繰り出すメニューから、まずは上品なお通し、そしてとらふぐの皮で作ったポン酢合えと煮凝りが出てきます。それは当然の如く、吞兵衛(のんべえ)の心は鷲掴みにされます。そしてその後出てきた、アジのたたきと穴子の一本揚げの前に至っては、ただ大将の職人技にひれ伏して、黙って舌鼓を打つしかなかったのです。極めつけは、とらふぐの白子酒です。何とも言えない風味を醸し出しながら、途中で白子をかき混ぜてみると、白子の甘味が増して二度美味しいのです。まさにここは路地裏の秘境に佇み、夫婦で営んで「優しく和の味を楽しめる本格居酒屋」といったところでしょう。