ひとり言 2022.03.12
今まさに、ウクライナ情勢を注視している中で「民族の誇りとは?」という問いかけが日々頭の中を巡ってきます。そもそもこの戦争は、ロシアと中国が今まで西欧諸国とアメリカが築き上げてきた世界秩序を根底から覆し、ロシアと中国とそれに準ずる国々とで新しい世界秩序を構築しようという壮大な計画の下で行われている、NATO軍vsロシア・中国の代理戦争なのです。今の時代おいて、巨大な軍事大国を相手に参戦することを躊躇することは当然なことですし、ましてや世界平和の理念と真反対の思想を持った人間が独裁国家のリーダーであれば、核ミサイル発射ボタンを押す確率を飛躍的に向上させてしまうのです。ロシアのウクライナ侵攻後、あっという間に首都キエフが陥落するという憶測のもと、助けたいけど助けれないというジレンマからある種の思考停止に陥り、指をくわえて見続けるしかないというただの傍観者に陥る瞬間がありました。しかしウクライナ人の誇りと尊厳をかけた命がけの戦いにより、ロシア軍の侵攻を遅らせることに成功し、その奮闘ぶりが世界中の人々の心を揺さぶり、励ましと伴に義勇兵が他国から集まっています。また世界各国でも真意はともかくとして傍観者から、より救済者へとシフトしよういう動きも観られます。おそらく表立ってはいませんが、米・英の特殊部隊が何らかの形で支援しているのは間違いないのですが、ウクライナ人の民族の誇りと一致団結して母国を守ろういう崇高な精神が合わさり士気が高まっていることが、ここまで持ち堪えている一番の要因だと考えます。ところ変わって日本ですが、3月10日のこのタイミングでロシアが北方領土でミサイル演習をしました。やっぱりなと思った人も多いと思いますが北からロシア、南からは中国にいつ攻め込まれてもおかしくない状況で北朝鮮からは、ロシア製と思われるミサイルが日本海めがけて断続的に飛んで来ています。このような状況下では例え今パラリンピックシーズンとはいえ、日本人にとって「世界平和」という言葉が大変虚しく聞こえてくるのは当然のように思います。よく話題に上がる日米同盟の問題ですが、よく議論される話は「中国が攻めてきたらアメリカはちゃんと守ってくれるんですかね?」ですが、これほど無意味な議論はありません。実際には、その状況下になってみないと分からないことですし、絶えず最悪の状況を想定しながら思考停止に陥らず、常に最善の努力をやり続けることしか、未来を切り開く可能性は残されていないのです。ここで最初の問いかけに戻りますが、ある日本のマスコミが、ロシアと戦うウクライナ市民の中年男性に「あなたに命の危険が迫っているのですが」と問いかけます。すると彼はこう答えます。「私がもし死ぬとしたら、それはウクライナを守るために死ぬことになります」と、彼は民族の誇りを表現し、そしてそれを体現しようとしているのです。