思うこと 2023.02.18
ゾンダーコマンドとは、数ヶ月の延命と引き換えにユダヤ人でありながらナチス側に付き、同胞たちをガス室に送り込んで死体処理を行うという特殊任務のことを言います。この特殊任務に関わった、あるユダヤ系ギリシャ人の話です。この物語は、1944年の強制収容所で書き記したメモが、36年後の地中から偶然に見つかったことから始まります。両親も姉もガス室で殺されていながら、このギリシャ人の特殊任務をするにあたっての心境が、そこには綴られています。それは、いつかナチスに復讐を果たしたいという壮絶な復讐心が、彼の生き延びる動機になったようです。一つ目の復讐は、収容所での実態を世界各国に知らせることから始まります。この試みは、ポーランドの諜報員との接触により、実現します。しかしながら、各国の思惑はそれとは別にありました。もし大量虐殺の阻止に動けば、多くのユダヤ人を受け入れることとなり、それによって国内情勢の不平不満が高まることを、むしろ恐れたということのようです。二つ目の復讐とは、クーデターを起こし「死の工場」であるガス室の破壊計画です。しかし、これは300人の仲間が連行されたことによって未遂に終わります。ナチスは一足先に、この大量虐殺の一部始終を知っている、ゾンダーコマンドたちの口封じに取り掛かっていたのです。つづく