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三島由紀夫 2022.09.29

殺人者 その6

善悪は抜きにして、ともかく三島由紀夫は本懐を遂げたのです。しかし、三島由紀夫の内部に潜む三島事件の真実は、誰にも明かされることもなく、月日だけは過ぎて行きます。そしてこの真実は、50年以上経った今でも、多くの人を魅了し続けています。しかしながら、この真実に誰か近づこうものなら、あの人間離れした知の巨人に、打ちのめされ酷い思いをするのが、落ちだったのです。ですから多くの人にとって、これに興味を抱きつつも怪我はしたくないので、一定の距離間を保ったままの傍観者にしか、なれなかったのです。私も一度として三島さんの真実に近づいてみようとは、考えたこともありませんでした。その代わり、三島さんの振りをして自由に語ろうと思い付いたのです。つまり精神的な三島由紀夫の仮面を被り、自分の内面を自由に告白しようと考え付いたのです。そのことが、やがて三島さんの真実に辿り着く唯一の手段であることに、気付いてしまいます。しかしここで誰も気付いていないことが存在します。この真実を包み込んだエネルギー体は、何と三島さんの死によって肉体から解放され、自由の身となり成長しながら、今まさに人生を謳歌しているということです。そして私の中に、ある野望が生まれました。それは自由の身となった、このエネルギー体を、この三次元の世界に浮かび上がらせてやろうと思ったのです。つまり小生の、この非才なる芸術性を有効活用し、このエネルギー体を見事に表現してやろうと思い付いたのです。何と三島由紀夫という男は、死後に誕生した男たちにも、生き甲斐という力を絶えず提供し続けていたのでした。完

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