三島由紀夫 2022.08.03
私は、三島さんとの精神的な和解の後、さらにその奥底に潜む純粋なる最深部、すなわち人格者三島由紀夫の奥に隠れている、行動原理の源に辿り着こうとは、考えませんでした。そこを守るのが、あの知の巨人三島由紀夫だからです。私のような無学な人間にとって、あの知の巨人の膨大な知識量が繰り出す理屈や思想や芸術の攻撃を喰らっては、ひとたまりもないからです。そこで私は考えました。今度は三島さんの内的エネルギーの背後に回って、三島さんの人間性を利用して、自分の思想理念を表現しようと思い付いたのです。つまり三島さんの精神的な仮面をかぶって、私の内的エネルギーを告白しようと考えたのです。まさか、その行き着く先は、三島さんの思想理念をいずれ私が体現するということに繋がっていたのです。だから私は、まだそう簡単には死ねないなと、決意を新たにしました。そして、また新しい出会いが、、一人は、三島由紀夫と10才違いの、お洒落でスマートな、大変気骨なご老人です。もう一人は、あの楯の会に入会しようとしていた、大変志の高い御仁です。この出会いが、ようやく私の知的欲求を満たしてくれるようになりました。何と、その出会いの場所が、松江の里山の頂上にあったのです。