三島由紀夫 2022.09.08
さらなる悲劇とは、「三島由紀夫、割腹自殺」の報を受けて各地で発生した、後追い自殺のことです。筆者は、この件を三島由紀夫が犯した最大の罪と断罪しています。そして、これを「三島由紀夫は、公衆の面前で割腹自殺するという鮮烈な姿を晒すことで、大衆を思考停止させ、自殺を煽ったのである」という激しい論調で非難をしています。筆者が言うように、これは己の欲望を満たさんが為に、多くの悲劇と犠牲者を生み出した蛮行であり、それ故、三島由紀夫は犯罪者であり殺人者でもあるのに、ましてや彼を英雄視するなど以ての外であるという論調に、私は当然のことのように理解します。しかし殺人者や犯罪者の汚名を着せられても、三島さんには、どうしても成し遂げなければならない事があったのです。それは、己の大義に対して誰よりも忠実であろうとする意志を貫いたことです。そして、その大義とは「天皇を中心とした伝統的な社会を守り抜く」という決意表明だったのです。しかし残念なことに、この件ついては私にも、この筆者と同様に己のナルシズムが生み出した卑劣で残虐な茶番劇に、どうしても見えてしまうのも事実です。しかしながら、ここで思考停止するのではなく、この一連の悲劇も三島文学と考えるなら、悲しいかな、物語がまだ継続していくことに気が付いてしまったのです。つづく